≪中小企業にも賃金アップの兆し≫
大企業の労使の春闘交渉で賃上げの機運が高まる中、2008年のリーマン・ショック以降、業績が伸び悩んでいた中小企業にも、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の効果で賃上げの兆しが出てきた。政府が目指す「景気の好循環」のカギは、企業全体の99.7%を占める中小企業の賃上げが握っている。
「働く意欲を」
東京都大田区で金属加工業を営むダイヤ精機は、1月から入社5~6年目の若手社員から賃金水準を一律に引き上げるベアを始めた。諏訪貴子社長は「これまでリーマン・ショック以降に入社した若手社員に賃上げできなかった。少しでもモチベーション(働く意欲)を上げてもらいたいと思い、決断した」という。
大手自動車・部品メーカーを顧客に持つダイヤ精機は、リーマン・ショック以降、売上高が6~8割落ち込む厳しい時期もあった。景気が安定していたリーマン前の3年間に設備投資を行わず、利益をためていたため、苦しい時期に従業員の給与をカットせずに済んだ。「ここ数年は、とても賃上げできる状況にはなかった」(諏訪社長)。