事故から8カ月後、沈没した船内で遺体が見つかった。だが香織さんには「いたずら好きな兄ちゃんが突然帰ってきて驚かせてくれる」との思いが消えない。「帰ったら見たいだろう」と山口県長門市の実家には事故を伝える新聞やニュースの録画ビデオを保管する。
香織さんは、仕事の都合で参加できずにいた追悼式に昨年(2013年)、初めて出席。スクリーンに映るえひめ丸の写真を真剣に見詰める生徒らを見て「兄ちゃんが勤めたのはいい学校だな」と涙が出た。
「子供たちは2月10日に事故と向き合い、今日をうんと楽しく生きようと思ってほしい」。香織さんが在校生に寄せる思いだ。(SANKEI EXPRESS (動画))
■えひめ丸事故 米ハワイ・オアフ島沖で2001年2月9日(日本時間10日)、愛媛県立宇和島水産高校の実習船えひめ丸(499トン、35人乗り組み)が、緊急浮上した米原潜グリーンビルに衝突され沈没。生徒4人、教員2人、船員3人の計9人が亡くなった。