新型輸送機オスプレイの搬入や、沖縄からの空中給油機移駐決定で、米軍岩国基地(山口県岩国市)に注目が集まっている。朝鮮半島有事の際の出撃拠点とされ、将来は極東最大規模の米軍基地になると予想される要衝の実態はあまり知られていない。
半島に至近
岩国市役所から車で数分。瀬戸内海に面した三角州の中に基地が広がる。長さ約2500メートルの滑走路は米軍機や自衛隊機の行き来が絶えない。「ゴーッ」。離着陸のたびに響き渡る轟音(ごうおん)。隣の人の声が聞こえないほどだ。
米軍岩国基地には米海兵隊第1海兵航空団などが駐留する。基地の軍人や軍属、家族の総数は約5000人。所属の米軍機は53機に上る。
基地の役割の一つは「アジア・太平洋地域における戦闘や有事の活動の際、米軍、同盟軍に支援を提供すること」(基地報道部)。韓国・釜山まで約300キロで、在日米軍基地の中では朝鮮半島に最も近く、朝鮮戦争の際には出撃拠点となった。現在でも「朝鮮半島有事に備えた基地であり、北朝鮮情勢が軟着陸するまでその役割は続く」と、軍事アナリストの小川和久さんは指摘する。