衆院予算委員会で答弁する安倍晋三(しんぞう)首相=2014年2月10日、国会(酒巻俊介撮影)【拡大】
だが、突如として都知事選で脱原発が争点の一つになり、基本計画の策定は事実上ストップ。与党内の「原発推進色が強い計画を閣議決定すれば選挙戦に不利に働く」という声に配慮したのが実情で、舛添氏の勝利で政府・与党は計画の閣議決定に向けた詰めの議論を本格化させる方針だ。
折しも都知事選の選挙戦最終日の8日は、東京電力の電力使用率(供給力に占める使用電力の割合)が「厳しい」とされる95%に達した。記録的な大雪で外出を控えた人たちの暖房需要が高まったとみられ、原発の再稼働がなければ電力需給に不安が残る実態を浮き彫りにした。
経団連の米倉弘昌会長(76)は10日、細川氏の敗因について「具体的な方策を示さずにただ反対というのは具合が悪かった」と指摘。同時に「再稼働で安定的な電力の供給が可能になる」と再稼働の必要性を訴えた。
電力業界の関係者も舛添氏勝利に安堵(あんど)の表情を浮かべる。「脱原発」を唱える細川氏が当選すれば、各社が待ち望む原発再稼働が遠のく恐れがあったからだ。