イエレン氏は高校までニューヨーク州ブルックリンで育った生粋のニューヨーカーだ。貧しい労働者も少なくないブルックリンで、開業医だった父は治療費がほとんど払えない患者も分け隔てなく、熱心に診察して回っていた。その父の背中を見て育ったことが、イエレン氏が経済学を志す原点であり、今もイエレン氏が雇用問題や労働市場に力点を置くことにつながっている。
20代半ばでハーバード大助教授となり、1985年にカリフォルニア大教授に就任。FRB議長の座を争ったローレンス・サマーズ元財務長官(59)に劣らず、イエレン氏も一流の経済学者である。94年にFRB理事、97年にはクリントン政権下で大統領経済諮問委員会の委員長に就任し、ワシントンの政官界で人脈を広げた。
正念場の量的緩和縮小
今のFRBは議長が主張を押し通さず合議を重んじるとされるが、温厚なイエレン氏も相手の話に耳を傾け、議論の集約を目指すタイプ。ただ、資料やデータを駆使しながら自説を展開する論理派でもあり、イエレン氏の友人で元FRB副議長のアラン・ブラインダー氏(68)は「一貫して優れた判断力を発揮できる。まさにFRB議長に必要な能力だ」とその実力を買う。