未曽有の金融危機への対応に追われたベン・バーナンキ前議長(60)と違い、米経済が緩やかな回復局面にある中で就任することは、イエレン氏にとってラッキーといえる。
だが、バーナンキ氏が道筋をつけた量的金融緩和の縮小は、これからが正念場。さっそく、就任直前の1月下旬に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、イエレン氏は試練に立たされた。
米経済の回復をよりどころとしてFRBは一段の緩和縮小を決めたが、直後に金融市場が動揺。量的緩和縮小に伴い、新興国から投資マネーの引き揚げが加速することへの懸念が広がったためだ。ただでさえ、金融市場はアルゼンチンなど新興国の通貨下落をきっかけに不安定なだけに、FRBも批判の矢面に立たされた。
性急な金融引き締めに慎重なハト派(緩和派)とされるイエレン氏だが、今年からFOMCの新メンバーになった地区連銀総裁などにはタカ派(引き締め派)も増え、今後は議長として論議の集約に気を遣う場面が増えそうだ。11日には下院で金融政策報告を行う予定で、発言に市場の関心が集まっている。