ホアンは作中で、クラシックのほかロックやポップスなど幅広いレパートリーを披露するが、これは音楽に対する彼のスタンスを端的に語るものだ。「音楽は、いつも僕の心の中にある魅力的なもので、とらえどころのない、とても不思議で奇妙なもの。だから、僕は好き嫌いをジャンルで分けようとは思いません。インスピレーションを受けたものを即興で作曲して素直に形にすることが好きなのもそのためです」
2歳半で才能確信
音楽との出会いは、自分の母が言うには2歳半のときだという。「僕のいとこがピアノで童謡を弾いたのを聞いた後、僕も鍵盤を叩きました。もちろんピアノなど教わったこともないのに、いとことまったく同じように弾いてしまった。母は僕に『音楽の才能がある』と確信したようで、4歳から僕はピアノの先生の指導を受けることになりました」。それにしても、光を感じ取れる程度の視力の彼が鍵盤の位置を認識できるのだろうか。本人は「僕も幼かったし、記憶がないんですよ」と苦笑いを浮かべた。