ただし米仏関係に懸念がないわけではない。オバマ氏は、フランスの産業界が大規模な代表団をイランに派遣するなど、欧州でイランとの経済関係強化を目指す動きが出ていることを踏まえ、制裁違反があれば「厳格に取り締まりを行う」と牽制(けんせい)した。ジョン・ケリー国務長官(70)も先週、フランスのローラン・ファビウス外相(67)に「代表団派遣は有益ではない」と述べ、不快感を表明している。
これに対してオランド氏は「フランスの大統領は産業界の代表ではない」とし、企業活動に介入できないとの立場を強調。フランス企業は、イランとの核開発をめぐる包括的な合意が実現しない限りは取引契約は結べないことを理解しているとも述べ、経済制裁に違反していないとの見方を示した。
イラン経済制裁で温度差
オランド氏がフランス企業の動きに配慮する背景には、フランスとイランの経済関係の深さがある。仏自動車大手プジョー・シトロエン・グループ(PSA)は2011年には約46万台相当の部品をイランに輸出していたが、経済制裁の影響で12年には輸出停止を余儀なくされた。ルノーも12年段階ではイランで約10万台を販売し、9.8%のシェアを確保。しかし13年の販売台数は約3万6000台に留まった。それだけにフランス産業界ではイランへの経済制裁解除への期待が大きい。