2014年ソチ冬季五輪会場。競技は、ロシア・ソチの市街地から約40キロ南東にある黒海沿岸の「アドレル」と、アドレルから約45キロ離れた山岳地域の会場「クラースナヤ・パリャーナ」の2カ所で実施。(C)Google【拡大】
「とにかくアスリートとして完成されている」と絶賛するのは、葛西の体力測定を担当してきた北星(ほくせい)学園大の佐々木敏教授だ。昨年(2013年)10月に行った測定では、20歳の時と比べて遜色ない数値を維持し、向上している項目まであった。
左膝や腰などの古傷に配慮しながら体力を維持するのは容易ではない。所属先の中西康隆トレーナーによると、スクワットでは下ろす動作を急がないなど過度の負担が掛からぬよう注意。上下動だけでなく、バレーボールやテニスといった前後左右に動く練習も取り入れ、全身の瞬発力を落とさない工夫をしている。
ジャンプの動作解析に詳しい北翔(ほくしょう)大学の山本敬三准教授は「陸上の走り幅跳びとは異なり、ジャンプは踏み切りの力が飛距離を決める主な要素ではない」と説明する。いかに素早く適正な飛行姿勢に入り、空気の力を生かして飛距離を稼げるかが鍵となる。
葛西の飛型は空中で両足を大きく開く。「世界で一番効率が良いのでは」と、全日本の横川朝治ヘッドコーチは言う。揚力を受けやすいようスキーの面を正面に向けられるバランス能力も日本でトップクラスだ。斉藤智治監督は「ソチの台は(空中の)後半がうまい選手が伸びる。後半のうまさ、落ちそうで落ちない紀明向きの台だ」と、期待を込めた。(SANKEI EXPRESS (動画))