背景には国内の高齢化という事情だけでなく、世界的に漢方への関心が高まっており、市場規模の拡大が見込めることがある。すでに、中国や韓国は戦略的に漢方の国際標準化、産業化を目指して動き出している。だが、日本は漢方薬の原材料の8割以上を中国に依存する一方、国内の薬草生産技術は存亡の危機にある。中国は今後、甘草など薬草の輸出規制に乗り出すとの観測もあって、薬草の高騰も危惧される。研究会では耕作放棄地や中山間地を有効活用し、薬草栽培によって農業再生との一挙両得を目指すという。
これまで漢方の伝統の技術や知見、ノウハウを統合し、一大産業化するシステムづくりが構想されてこなかった。国の西洋医療偏重に加え、生薬は農水省、医薬品は厚労省、産業政策は経産省などと分断されている点が弊害として指摘されている。国民医療費が38兆円を超えて年々増加する中、病気の予防に注力していくというのが国の医療指針「健康日本21」の考え方だ。漢方の新産業化をきっかけに今後、統合医療に関する具体的な動きが加速することを期待したい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS (動画))