しかし、現に原発は国内に存在し、管理が長期にわたる核廃棄物を扱う技術も必要だ。再生可能エネルギーの開発に集中をすればよいという意見もあるが、それにも程度がある。
昨年(2013年)、「21世紀への階段」という本が復刻された。1960年に当時の中曽根康弘科学技術庁長官が企画立案し、当代の碩学たちが、“未来”の科学技術や暮らしの進歩を予想した読み物で、ベストセラーになったという。
科学の万能を信じた高度経済成長期の熱気そのままに、「原子力時代は花盛り」「核融合反応で燃料問題は全て解決」などと書かれていて、今となっては無邪気な空想本という酷評もある。一方で、原子力潜水艦(著作では「原子力潜水船」)など実現したものもある。
科学の大発見や技術開発のひらめきは、空想や忌避を超えることに端を発することは、科学の歴史が示しているところではないか。(佐々木美恵/SANKEI EXPRESS)