サイトマップ RSS

人が生きていくのに写真は必要か? 幅允孝 (2/5ページ)

2014.3.4 15:40

丁寧に洗われ、データ化された写真たち。誰かの生の痕跡が確かにそこにある(高橋宗正さん撮影、提供写真)

丁寧に洗われ、データ化された写真たち。誰かの生の痕跡が確かにそこにある(高橋宗正さん撮影、提供写真)【拡大】

  • 「津波、写真、それから」(高橋宗正著/赤々舎、2730円、提供写真)
  • 「スカイフィッシュ」(高橋宗正著/赤々舎、2940円、提供写真)
  • 【本の話をしよう】ブックディレクター、幅允孝(はば・よしたか)さん(山下亮一さん撮影、提供写真)

 なんというか、写真行為という作為の向こう側にあるものをつかもうと、もがいているようなすがすがしさを写真集から感じたのだ。「なぜ写真を撮るのか?」ということを常に自分にぶつけながら、「生きる」ということと「撮る」ということを同化させたいと願う高橋。そんな彼が、震災を目の当たりにして、このようなプロジェクトに、持てるだけの時間と労力をささげ続けることができたのは、彼自身の写真性と深く呼応しているようにも思えた。人が生きていくのに写真の力は必要なのだろうか? 高橋は、このプロジェクトを通じて問い続ける。

 プロジェクトの始発点は、福島県との県境に近い宮城県亘理郡山元町にある小学校の体育館だった。その中にはずらりとプラスチックのケースが並び、ケースの中にはアルバムや流された写真がいれられていた。災害支援の活動中に自衛隊や消防などが集めたという膨大な量の写真は、約75万枚という途方もない数。それらの写真を、洗浄し、データ化する「思い出サルベージ」プロジェクトのボランティアとして、東京に暮らす高橋は自身と震災の結節点をみつけてゆく。

 津波に流され、泥のついてしまった写真を、慎重に水につけながら、ハケで優しくこする。そうやって洗浄した写真は、日影で乾くまで干し、次にデータ化の行程にまわされる。

誰かが生きていた痕跡

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

実践で使える英会話を習得!業界最高峰の講師がサポートします。毎日話せて月5000円《まずは無料体験へ》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

サンスポ予想王TV

競馬などギャンブルの予想情報を一手にまとめたサイト。充実のレース情報で、勝利馬券をゲットしましょう!

ページ先頭へ