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人が生きていくのに写真は必要か? 幅允孝 (4/5ページ)

2014.3.4 15:40

丁寧に洗われ、データ化された写真たち。誰かの生の痕跡が確かにそこにある(高橋宗正さん撮影、提供写真)

丁寧に洗われ、データ化された写真たち。誰かの生の痕跡が確かにそこにある(高橋宗正さん撮影、提供写真)【拡大】

  • 「津波、写真、それから」(高橋宗正著/赤々舎、2730円、提供写真)
  • 「スカイフィッシュ」(高橋宗正著/赤々舎、2940円、提供写真)
  • 【本の話をしよう】ブックディレクター、幅允孝(はば・よしたか)さん(山下亮一さん撮影、提供写真)

 さて、問題はここからだ。洗浄をしてみたものの、どうしても傷みが激しく、誰の写真か判別のつかないものが、作業が進むにつれて少しずつ、着実に、増えてきた。その写真をめぐって何度も話し合いがもたれた。処分してよいものか? 処分しないとするなら、どうするべきか?

 日々の作業で多くの見知らぬ人の写真を眺め、洗い、撮影してきた彼ら。そこに写る被写体は、生きている可能性も、亡くなってしまった可能性もある。そんな風に会ったことのない誰かを案じながら、一方で、確かに誰かが生きていたという痕跡をたどった彼らの出した結論は、その写真たちを展示することだった。写真展「LOST&FOUND PROJECT」の始まりだ。

 震災と自分の自然な距離感

 この写真展とともに世界中を巡ることになった高橋の旅の結末は、ぜひ本書を読んで確かめてほしい。静かな死をいつも傍らに抱えながら、彼は写真の意味を考え続ける。一方で彼の道程は、現地に居らず、被災を免れた者にだって、自分と震災の結節点をみつけることができることも強く示唆する。

震災と自分の自然な距離感

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