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人が生きていくのに写真は必要か? 幅允孝 (3/5ページ)

2014.3.4 15:40

丁寧に洗われ、データ化された写真たち。誰かの生の痕跡が確かにそこにある(高橋宗正さん撮影、提供写真)

丁寧に洗われ、データ化された写真たち。誰かの生の痕跡が確かにそこにある(高橋宗正さん撮影、提供写真)【拡大】

  • 「津波、写真、それから」(高橋宗正著/赤々舎、2730円、提供写真)
  • 「スカイフィッシュ」(高橋宗正著/赤々舎、2940円、提供写真)
  • 【本の話をしよう】ブックディレクター、幅允孝(はば・よしたか)さん(山下亮一さん撮影、提供写真)

 あまり電気が使える状態ではなかったので、ここではスキャンではなく自然光で写真自体を撮るという方法が選ばれた。三脚とカメラを方々から集め、何人ものボランティアが写真の写真を撮る。ひたすら流された写真を撮影し続ける。そして、毎週末20~80人の人が集まったこの「思い出サルベージ」は、驚くべきことに3カ月という短期間ですべての写真の洗浄とデータ化をやり遂げてしまったのだ。高橋も本書でこうつづっている。「人間やればできる」。

 誰かが生きていた痕跡

 次の段階では、きれいになった写真を持ち主に返さなければならない。写真が見つかった場所ごとにファイリングされた写真は、写真の返却室に整然と並べられ、丁寧にインデックスもつくられた。全てのページをめくらずとも、そのインデックスを眺めれば、自分のアルバムかどうかの判別がつくからだ。一方でデータベース化もされ、返却室に設置されたパソコンで閲覧できるようにもなった。さらには顔認識システムを活用することで、写真を探しに来た人と似た顔の写るアルバムを膨大なデータの中から見つけることができるようにもなる(本当に技術というのは使いようですね)。このようにして、3年間で30万枚の写真が持ち主に返っていったという。

震災と自分の自然な距離感

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