幼い頃から家族とヨット遊びを楽しんできたというチャンダー監督は、海を見ると眠っていた冒険心を駆り立てられるそうだ。「人類の歴史の進み方を考えてみても、海洋でさまざまに繰り広げられた冒険がその推進力として果たした役割が大きいと思うんです。船がいろんなものを運ぶことで、世界をまたにかけて貿易も盛んになりました。現在、必ずしも大好きなヨットが人間の生活に欠くべからざるものではなくなりましたが、どの国の歴史にも登場する普遍的なアイコンだとは思うんですよ」
レッドフォードは撮影時にすでに75歳と高齢だったが、猛烈な風雨の中でまさに沈没せんとするヨットを懸命に立て直す姿をみると、むしろ屈強な男といってもいい。チャンダー監督はレッドフォードに出演を打診した理由として「すでに役者が観客と強い信頼関係を持っていれば、観客はあきずに1人芝居についていくことができます。もちろん肉体的にもハードな演技をこなせる人がほしかった。だとすれば、主人公はレッドフォードしかいなかったんです」と答えた。レッドフォードはチャンダー監督から出演打診を受けた5日ほど後、「やるよ」と電話をかけてきた。チャンダー監督は主人公の内面にレッドフォードと相通じるものがきっとあったに違いないと感じたという。