センバツ高校野球の季節がやってきました。沖縄の高校が2校も出場することもあり、あさっての開幕が待ちきれない僕は東京に住んで24年も、やはりいつまでも沖縄県民です。
自分の「出身高校」でなくとも県の代表を熱狂的に応援するのが沖縄県民の特徴。試合中はレストランから客が消え、道路から人が消え、電話をかけたら怒られるという沖縄。大げさではなく県の経済がピタリと止まります。
その背景には、沖縄県民が、沖縄の子供たちの甲子園での頑張りに、沖縄の復興を重ねてきた歴史があります。
復帰前の1958年、甲子園で敗れ沖縄へ帰る球児たちは、船の上から甲子園の土を海へ捨てなければなりませんでした。植物防疫法で「外国の土」と見なされたためです。僕が子供の頃、親父は球児たちを応援しながらそんなエピソードを語りました。エラーばかりして「本土の学校」に手も足も出なかった沖縄の球児たちが、いつしか一人前に戦えるようになった姿を見ながら涙を浮かべていたものです。