研究費の争奪戦は激しく、榎木氏は「ばれなければいいとデータをいじったり、やってないことをやったとみせかけたりする不正が生まれる」と指摘する。
企業と癒着
一方、ノバルティスファーマ社の高血圧治療薬「ディオバン」を使った京都府立医大などの臨床研究では、論文に使われた解析データが製薬会社の都合のいいように操作されていた。
ノ社は大学側に計11億円超の奨学寄付金を拠出しており、榎木氏は「製薬会社は薬を売るため都合の良い研究にカネを出す。それが癒着や不正を生む温床となっている」と指摘する。
製薬会社の“丸抱え”の研究では「自社商品にとって有利な結果」が過度に期待されるあまり、不正が起きやすいというわけだ。
不正を防ぐにはどうすべきなのか。東京大学医科学研究所の上昌広特任教授(45)は「真相を究明し、担当者を処分することしかない」と話す。
ただ、上氏は「現在は、内部調査のみで第三者調査を行わなかったり、調査を長引かせてほとぼりが冷めるのを待ったりする甘い対応が目立つ」と指摘。内部の不祥事を隠蔽、矮小(わいしょう)化するような研究機関側の対応が「不正をむしろ助長し、信用を失墜させている」と警鐘を鳴らした。(伊藤鉄平、道丸摩耶/SANKEI EXPRESS)