白か黒でしか理解しない幸人が、曖昧な灰色の実社会で突き止める「ほんとうのこと」は、大人には不都合なものばかり。隠した嘘を暴かれ動揺する幸人の父。不器用に、まっすぐ真実に向かう幸人が一番、強く見える。
「本当は幸人のほうが周りの大人たちより生きづらいはずなのに。途中から幸人の行動で周りが傷ついていきますが、ひっかきまわす幸人は、自分を崩さず、はっきりと彼の道を進む。まっすぐな幸人を通して、笑ったり悲しんだり、心を動かしてもらいたいなって」
今までにない役作り
幸人の根底にある、自分を信じる力の強さをどう演じるか。アスペルガー症候群を持つ幸人に特有のコミュニケーションの困難さを表現しつつ、共演者とはどう意思疎通を図って舞台を回すのか…課題は多いという。
「とても苦労しています。お芝居はコミュニケーション。でも幸人は人と目を合わせず“閉じ”なければいけない。今までにない役の作り方です。でも、そこがつかめたら楽しい話になるし、そうなるように今、頑張っています」