イタリアの物語ではあるが、母親となった女性が抱える苦しみは普遍的。「日本にも、このような苦しい経験をした人は多いでしょう。あなたがたに伝えたいのは、『外からの批判を恐れることはない』ということ。苦しい末の選択だったということを、私は知っています。勇気を持って、人生へと歩み出してほしい」。母親たちの声は、言葉の違いを超えて届くはずだ。(文:塩塚夢/撮影:大西史朗/SANKEI EXPRESS)
■Simona Sparaco ローマ生まれの作家・脚本家。本作『誰も知らないわたしたちのこと』は2013年ローマ賞を受賞し、イタリア最高の文学賞であるストレーガ賞の最終候補となった。日本語のほか、スペイン語、ギリシャ語に翻訳されている。他の著書に『Lovebook』など。
「誰も知らないわたしたちのこと」(シモーナ・スパラコ著/紀伊國屋書店、1800円+税)