【本の話をしよう】
若いころに勤めていた某教育機関の職場では、複数の新聞を取っていました。職員が読むためではなく、施設にいらっしゃる老若男女の方々のためのものです。早出シフトのときには、昨日の朝刊を引っ込め、当日の新聞をセットしておくのも、朝一番の仕事の一つでした。
その新聞の中に朝日新聞がありまして(産経新聞さん、ごめんなさい)、当時、一つ楽しみにしていたコーナーが連載されていました。
『中島らもの明るい悩み相談室』というのがそれです。小説のみならず、演劇、創作落語等、多方面で活躍されていた故中島らもさんが、送られてくる読者からのお悩みに答えるというもの。それが実に面白かったのです。
面白くて長く続いたコーナーですから、当然書籍化されました。最初は新書サイズで出ていた記憶があります。その後、中でもえりすぐりの質問と回答を集めた『中島らもの特選明るい悩み相談室 その1』から『その3』までが、集英社文庫で発刊されました。
ユーモア交え
明るい悩み相談室、ですから、採用される相談は、コーナー名のとおり、他紙の生活面などに掲載される「思春期との子供の態度が急に荒れだして」「義母とどうしても折り合いが合わず」などといった、深刻で重いものではありません。