「元『ももいろクローバー』の…」と枕詞(まくらことば)の付いた紹介のされ方には抵抗があるのだろう。取材中に水を向けても“前職”に一切言及しなかった早見あかり(19)は、女優として歩み始めた新しい自分の説明に力を注いだ。
そんな早見が腰まであった長い黒髪をばっさりと切り、青春映画「百瀬、こっちを向いて。」(耶雲哉治監督)で初主演に挑んだ。「主演といっても私が座長を務めてみんなを引っ張るというわけではないから、特別な思いはありませんでした。むしろ、百瀬という女子高校生をしっかりと演じきれるのか、というプレッシャーの方が大きかったですね」。早見は振り返った。
共感できなかった恋愛観
乙一(35)が中田永一名義で執筆した同名の人気小説を映画化した本作は、駆け出しの小説家、ノボル(向井理)が久しぶりに故郷を訪れ、高校時代を回想する形で描かれている。
内気で恋することにも臆病な高校生のノボル(竹内太郎)は、先輩の瞬(工藤阿須加)に呼び出され、活発で男勝りの百瀬(早見)を紹介される。瞬には徹子(石橋杏奈)という本命の恋人がいたが、最近、百瀬との浮気が噂されるようになり、ナーバスになっていた。そこで百瀬が出した提案は、ノボルと百瀬が付き合っているふりをして噂を消すこと。嘘で始まった2人の“恋”の行方は…。