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「美味しんぼ」問題から分かった3つの真実 渡辺武達 (3/4ページ)

2014.5.28 11:20

書店に並ぶ、漫画「美味しんぼ」が掲載された「週刊ビッグコミックスピリッツ」5月19日発売号=2014年5月19日、東京都内(共同)

書店に並ぶ、漫画「美味しんぼ」が掲載された「週刊ビッグコミックスピリッツ」5月19日発売号=2014年5月19日、東京都内(共同)【拡大】

  • 福島県南相馬市、双葉郡浪江町、双葉郡双葉町、東京電力福島第1原発、双葉郡大熊町、双葉郡富岡町、双葉郡楢葉

 住民の間では、人口減少を止めるには、原発事故の影響で不通区間のあるJR常磐線の完全復旧しかないという声が多い。しかし、他の地域なら資材と労働力と金が工面できれば、鉄道網を含め、復興は可能だ。しかし、この常磐線だけは違う。原発事故地域を通らねばならず、復旧のメドすらたっていない。

 こうした状況のなかで、「美味しんぼ」の福島原発健康被害をめぐる錯綜(さくそう)が起きた。政府と自治体の責任者の多くは「美味しんぼ」の記述を否定し、学者にも否定意見が多いが、反原発運動関係者や一部学者には、鼻血と原発事故の関連は否定できないとする意見もあり、肝心の住民は不安感にさいなまれている。

 だが、なぜこれほどまでに「美味しんぼ」が問題にされるのか。それはこれまで原発事故に関心を寄せなかった人々にも、人気漫画が問題を突きつけたからである。たとえば、同じ4月に発刊された漫画に「いちえふ」(竜田一人(たつた・かずと)作、講談社)がある。その宣伝帯には、「福島第一原発作業員が描く原発ルポ、これは〈フクシマの真実〉を暴く漫画ではない。これが彼がその目で見てきた〈福島の現実〉」とある。漫画では生活に困り、金になる原発清掃作業に従事した作者の体験が克明に描かれている。

「物理的」な真実と、「政治的」な真実

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