それから25年。やまなみ工房は、いずれもユーモラスな粘土作品で知られる鎌江一美さんや吉川秀昭さんをはじめ、国内外で注目されるアーティストを輩出してきた。けれども、山下さんは「アートには興味がない」とそっけない。「僕らは一人一人にとって『これをすることが幸せなんだ』と思えることを追求するだけ。そして、彼らのすてきなところを知ってもらいたい」。そんな山下さんが「僕らが見逃している原石を発見し発信してくれる」と絶大な信頼を寄せるパートナーが笠谷さんだ。
既存のイメージに反発
日本でも「アール・ブリュット(生のままの芸術)」という言葉が知られるようになってきた。けれども、「障害者の作品」という点がことさらクローズアップされる傾向に、笠谷さんは疑問を抱いてきた。「発信する側に少しでも、慈悲を売りつける気持ちがある限り何も変わらない」。山下さんも「『すごいですね、障害があるのに』という反応は失礼」と言う。