笠谷さんは工房に通い、創作活動の様子を写真集やドキュメンタリーフィルムに収めたり、作品を素材にしたファッションブランドをリリースしたりしてきた。型破りなやり方に、「アートを冒涜(ぼうとく)している」と美術専門家から批判されたこともあるが、2人の反逆児は「面白い、カッコいいと思うことを自分たちのスタイルで発信していく」と譲らない。
その原動力は障害者を取り巻くネガティブな環境や既存のイメージに対する反発だ。それは社会のゆがみにほかならない。「美術界のセオリーや福祉界のしがらみに縛られず、多くの人たちに、やまなみ工房のカッコよさ、ユニークさを伝えていくことで、ゆがみを直す」。これが2人の戦略だ。その手法をアートに限る必然性はない。
「ひとつの価値観に閉じ込めてしまうと、彼らは幸せになれない。僕らが変わり続ければ、どんどん可能性が広がっていくはず」(一般社団法人「Get in touch」理事長 東ちづる/撮影:フォトグラファー 山下元気/SANKEI EXPRESS)