経済的利益狙う北
今回の合意の最大のポイントは、北朝鮮が「拉致問題は解決済み」としてきた従来の立場から「日本人に関する全ての問題を解決する」との立場に転換した点だ。北朝鮮の狙いは、合意文書に記された「1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨および墓地」の調査にある。遺骨収集に伴う経済効果が期待されるためで、日朝外交筋によると、約2万人とされる遺骨収集が仮に実施されれば、日本から間接的な「人道支援」名目の資金が流れ込むことになる。北朝鮮が経済的な利益を優先しようとしている点を踏まえ、遺骨収集を再調査の枠組み中に組み込むという「知恵」を持ち寄ったといえる。
日本を突破口に
また、北朝鮮は来年、朝鮮労働党創建70周年の大きな節目を迎えるが、日米韓相手の外交で北朝鮮が現在、成果が望めそうなのは日本だけだ。
中国や韓国と歴史問題であつれきを抱え、米国ともぎくしゃくする日本に狙いを定め、袋小路にある外交環境の突破口を開こうとしたとみられる。
北朝鮮は安倍首相を「極右」と批判しつつ、北朝鮮に厳しい保守勢力内での影響力の大きさと、手堅い政権運営に注目してきた。合意を受け、拉致被害者の蓮池薫さん(56)、祐木子さん(58)夫妻=新潟県柏崎市=は29日、「希望の持てる第一歩だと考える」とのコメントを出した。(SANKEI EXPRESS)