画家ビンセント・ファン・ゴッホ(1853~90年)が1889年に描いた「耳を包帯でくるんだ自画像」。ゴッホは自分の左耳をカミソリで切り落としたとされるが、自画像は鏡をみながら描かれたため右耳に包帯が巻かれているようにみえる(ゲッティ=共同)【拡大】
ストレブ氏はリーウ氏の存在を知る前、生前のゴッホが舌で舐(な)めて封筒などに貼り付けたとみられる切手から、当人の唾液のDNAを採取するという実現性の低い方法まで試みようと試行錯誤したが、リーウ氏の協力を得てゴッホの生きた細胞のサンプルを入手したという。
このサンプルを元に、米マサチューセッツ工科大学(MIT)と米ハーバード大学が1995年に成功させた人間の耳の軟骨の細胞をマウスに植え付けて耳を再生する医療技術を応用。米ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院で耳をガラスケース内の培養液の中で成長させた。耳の形は3Dプリンターを用いてリアルに成形した。
ストレブ氏はAP通信との電話インタビューで「私はゴッホが絵の具を使ったように、科学を絵筆のように使ってこの作品を作り上げた」と説明。リーウ氏から快諾を得るのは容易だったと明かし、「彼もたちまちこのプロジェクトを気に入ってくれたわ」と振り返った。