幼いころからSF作家を志していたという仁木稔(にき・みのる)さん。「ファンタジーを読んでいても、『これは地動説の世界なのか天動説の世界なのか』と設定が気になってしまう」と苦笑するほどのSF好きだ=2014年5月30日、東京都千代田区(塩塚夢撮影)【拡大】
「01年は象徴的。日本と同じ先進国で起きた同時多発テロによって、それまで遠い外国、もしくは社会の周縁部にあった『苦しみ』が、自分たちにも起こりうるものとして認識されるようになった。これ以上苦しみから目をそらすことができなくなったのです」
本作の連作としての英語タイトルは、中編の一つでもある〈The Show Must Go On〉。イラクの刑務所で囚人をいたぶる金髪碧眼の美少女(「はじまりと終わりの世界樹」)、「亜人」による代理戦争をエンターテインメントとして楽しむ人類(「The Show Must Go On」ほか2編)…。連作の全てが「他者の苦しみ」というショウの物語だからだ。
読んだ人自身が考えて
「(今年3月に明らかになった)震災ドキュメンタリー映画のやらせ問題のように、私たちは他人の苦しみを娯楽として消費してしまいかねない。自分自身、かつてあるアニメ作品のノベライズを手がけたとき、少年兵が登場するエピソードをどう描くか悩んだ。かっこいいもの、かわいそうなもの…つまり、見世物としては描きたくなかった。でも、小説はエンターテインメントであるべきだと思っている。そのジレンマと向き合った結果がこの連作集なのです」