そんな観客の期待に応えようと、奮闘する俳優やスタッフたち。出番前に稽古する俳優もいて、地方の多目的ホールという制約がある中、歌舞伎座と遜色ない舞台を見せようとする巡業チームと観客の「晴れ」の気持ちが合わさり、独特の高揚感が漂っていた。
6月の国立劇場(東京・隼町)の「鑑賞教室」では、最初は騒がしかった団体の学生が、森鴎外原作の「ぢいさんばあさん」に見入り、老夫婦が37年ぶりに再会する場面で拍手する姿が見られた。巡業や鑑賞教室で、いい舞台に出合えば、いずれ歌舞伎座に来る機会もあるだろう。新開業の歌舞伎座は盛況だったが、観客を年齢別にみると40代以上が86.7%を占め、20~30代は1割という気になる結果も出た。
「一時的なブームに終わらせない」とは、こけら落とし興行中、多くの歌舞伎俳優から聞かれた言葉だ。その危機感が、未来の観客を育てる地道な興行の奮闘につながっている。(飯塚友子/SANKEI EXPRESS)