ドイツでは、中英間の「阿片戦争(1840~42年)以来、列強に奴隷扱いされた歴史の悲劇」に触れた。戦争後、英国が中国と交わした不平等条約を“手本”とし、列強は同様の条約を次々に締結した。李氏が到着した英空港に敷かれた赤絨毯が3メートル短いと文句を付けてもおり、屈辱の19~20世紀を忘れられない中国は復讐を始めたのだ。
米に強固な対抗意志なし
復讐劇には世界が注目する舞台が必要だ。英紙が指摘した《新たな世界秩序》こそ復讐の舞台だが、近代以前とは「役者」が入れ替わった。金品をバラマキ「主役」を掌中に収めた中国は「富が欲しくば、虐殺や軍拡に口を出すな」と凄む。《中国の傲慢な態度に耐えている》と、歴史の「脇役」に降格されていく英国の悲劇を伝える英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)報道は痛々しかった。
英国は過去の「脚本」さえ放棄したかに見える。大英帝國~冷戦の時代まで、この島嶼国家が堅持した基本戦略は、野心的強国に欧州大陸が支配されぬよう複数国が適度な均衡を保つ情勢の継続だった。大陸統一の暁には、英国に矛先が向くためだ。