戦争が始まった。青年画家も召集された。戦後。母親が死去。住む家はない。絵は売れない。蓄えの金が尽き、どん底だったという。
市川市に移住。支援者だった中村家(みそ醸造業)を頼った。事務所2階で間借り生活を始め、画業を再開する。「残照」などの作品が脚光を浴びた。ようやく画壇で認められたのだ。このころ、撮影した写真が残る。若き妻と2人。明るい日差しを浴びてほほ笑む。人生の希望を感じる。
市川市に念願の新居兼アトリエを建築した。記念館の前。緑に包まれた邸宅が見える。東山邸だ。
取材後。記念館の中庭「KAIIの森」を歩いた。シラカバ。アジサイ。画伯が愛した信州の森をイメージしたという。昼。館内のレストランでカレーライスを食す。窓から美しい庭が見える。ああ。いい。ゆったりとした初夏の時間が流れていく。(塩塚保/SANKEI EXPRESS)
■逍遥 気ままにあちこち歩き回ること。