【国際政治経済学入門】
政府は6月末に打ち出した成長戦略(2013年「日本再興戦略」)の改訂版で、そろりと、移民受け入れに舵を切った。少子高齢化で停滞する日本経済は大量の外国人労働者を受け入れないとジリ貧になるという財務官僚や識者の意見が通ったわけだが、本当に移民で経済は成長するのだろうか。
政府の説明は、帰国を前提とした外国人労働者受け入れ拡大であり、永住につながる「移民」導入ではないというのだが、経済協力開発機構(OECD)など国際機関は「移民」を「外国生まれの移住者」とみなし、外国生まれの労働者をその範疇(はんちゅう)に入れている。外国人労働者を移民としてとらえるのはいわば国際常識だ。
「低技能」大量流入も
成長戦略改訂版では、さまざまな角度から外国人の働き手増加を導き出している。まず、法人税率引き下げで外国企業の対日直接投資を促して高度な技能・技術を持った外国人人材を受け入れる。高度な外国人が来日して定住してくれるようにするためには、外国人の家事労働者を受け入れる必要がある。これまで日本は単純労働者を受け入れていなかったが、家事労働をきっかけに単純労働者受け入れに転換することになる。