受賞作を手に握手をする芥川賞の柴崎友香(ともか)さん(右)と直木賞受賞の黒川博行さん(左)=2014年7月17日、東京都千代田区(大橋純人撮影)【拡大】
選考委員の伊集院静さんは「登場人物の心象を一切書いていないのに、これだけ読ませるのはすごい。ペーソスが感じられるようになった」と絶賛。作家本人についても「ここまで作品の質を落とさず書き続けた忍耐力、魂に敬意を表したい」と話した。
贈呈式は8月下旬、東京都内で開かれる。賞金は各100万円。
≪妻には頭上がらないけど社会の「悪」あぶり出す≫
黒川さん
「60歳を過ぎて青天の霹靂(へきれき)。うれしいです」。黒川博行さんは、どこかほっとしたような満面の笑みを浮かべた。初の候補入りから18年、6度目でついに直木賞を射止めた。
警察小説にハードボイルド。徹底した取材に基づくリアルな描写には定評がある。産廃業者や北朝鮮、宗教団体などをテーマに、一貫して社会の裏に潜む“悪”を描いてきた。受賞作は一癖も二癖もあるコンビが活躍する人気シリーズ。「ばくち好き」を自認するだけに、最もこだわったのは舞台のカジノだ。「商売の成り立ち、どう収益を上げているか…。そういうことが気になります。ま、今回は書くのに苦労してませんけど」