「最初に監督のギャレスと会ったとき、なぜゴジラが生まれたのか、どんな歴史を刻んできたのか、などへの理解度が深く、これは託してみる価値があると思った。周囲の思惑で、純粋な監督の思いが失いかけた時期もあったが、粘り腰でここまで持ってきた。初めて試写で見たときは安堵(あんど)しました」と渡辺は振り返る。
希望まで感じることができた
第1作ではゴジラは水爆実験から生まれたが、今回は原発事故が描かれる。東日本大震災を彷彿(ほうふつ)させるが、「3・11は社会生活のあり方とか科学と社会のあり方などが問われる分岐点のような出来事で、それをただのモチーフとして使われるのは忍びない。底辺に流れるものとしてちゃんと組み込まれていなければ意味がないと思った。この映画のラストは、自分の中では3年前の出来事とどこかでつながっている。それでも人間は立ち直る力を秘めている、という希望みたいなものまで感じることができましたからね」と、継続的に被災者支援活動を行っている渡辺は言う。