科学者という役も象徴的だ。科学は人類をよりよい方向に進化させようというものなのに、科学が生み出したものに破滅させられる可能性がある。そんな科学者が持つジレンマも感じながら演じていた。
「結局、人間がコントロールできないものへの恐怖という意味では、60年前も今も変わっていない。そのことに気がついた上で、将来に向かって話をしないといけないんじゃないのと考える起点になるのなら、この映画に参加した意義があったかなと思っています」(文:藤井克郎/撮影:大里直也/SANKEI EXPRESS)
■わたなべ・けん 1959年10月21日、新潟県生まれ。87年、NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」に主演。2003年の映画「ラスト サムライ」で、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞にノミネート。主な映画出演作は、05年「バットマン ビギンズ」「SAYURI」、06年「硫黄島からの手紙」、10年「インセプション」など。次回作に「Sea of Trees」(ガス・ヴァン・サント監督)が控える。