映画「観相師-かんそうし-」(ハン・ジェリム監督)。公開中(樂舎提供)。(C)2013_SHOWBOX/MEDIAPLEX_AND_JUPITER_FILM_ALL_RIGHTS_RESERVED.【拡大】
私は、釜山国際映画祭などで数回ソン・ガンホにお目にかかっている。スタッフや監督たちとの食事会にも参加させていただいた。自他ともに認める酒豪である彼が仲間たちの話を聞きながら静かに飲んでいる姿が印象的であった。普段はほとんど映画を見ないらしく、他の俳優の出演作にもあまり興味がない様子で無口だったが、サッカーに夢中だという息子さんの話になると途端に饒舌(じょうぜつ)になった。そのギャップが何とも微笑(ほほえ)ましかった。映画を作る仲間たちと家族のように寛(くつろ)ぐ姿を見て、彼にとって撮影現場は特別な空間というよりも普通に「生きる場所」なのだろうと思った。役を与えられたソン・ガンホには神が降り、そこで生かされるのだ。
韓国のアカデミー賞といわれる大鐘賞映画祭では最優秀作品賞、主演男優賞など6冠を獲得し、他の賞レースでも戴冠を続けている。本作を製作したジュピターフィルムは、作品完成前から純利益の50%を慈善財団に寄付することを決めていたという。映画人の心意気溢れる作品である。東京・シネマート新宿ほかで公開中。(映画監督 ヤン・ヨンヒ/SANKEI EXPRESS)