「プライバシー侵害」「感謝」
ただ、メールの監視基準などは藪の中で、グーグル側の恣意(しい)的な判断によって間違って犯人に仕立て上げられないかという不安は残る。英BBC放送やフランス通信(AFP)などは4日、今回の事件が契機となってグーグルが今後、捜査当局や裁判所にGメールの利用者の情報を与える動きを加速させることへの懸念も報道した。
実際、米国では既にGメールのモニタリングについて「プライバシーの侵害」との理由で訴訟が複数、起きている。
だが、欧米では無抵抗の子供を食い物にする児童ポルノは人権侵害として最悪の部類の犯罪に位置づけられる。英国では最近、33歳の母親が投稿した生後19カ月の娘の写真が、児童ポルノ対策のヌード規定に触れるとして無料の画像共有サービス、インスタグラムにより削除されたが、利用者からは写真を投稿した母親に対し「鈍感」との非難が相次いだ。
プライバシーへの保護意識が高い欧米諸国だが、これまでのところはグーグルの対応を支持する意見が多そうだ。そうした思いが特に強いのは“犯罪者”の近所に住む住人たちかもしれない。スキラーン容疑者の隣人、イエセニア・ゴンザレスさんはKHOUの取材に「彼は普通の好人物に見えた。グーグルには感謝するよ」と話した。(SANKEI EXPRESS)