トルコ・イスタンブール【拡大】
≪「強いトルコ」復活へ介入外交維持≫
レジェプ・タイップ・エルドアン首相が新大統領に選出されたことで、トルコは、他国の問題に積極的に関与するここ数年の外交スタイルを維持する見通しとなった。一方でトルコ周辺では、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」がイラク政府やクルド自治政府への攻撃を強めるなど不安定さを増しており、国内にクルド人問題を抱えるエルドアン氏は慎重なかじ取りを迫られそうだ。
周辺国と関係険悪化も
「新しい、強いトルコの誕生だ」。エルドアン氏は大統領選の投開票に先立つ8月9日、こう述べ、当選後は域内で主導的な役割を担うことに強い意欲を示した。
エルドアン氏は2003年の首相就任後、米欧のみならず中東各国とも良好な関係を保つ「全方位外交」を展開した。しかし、11年に中東各国で反政府行動が拡大した「アラブの春」以降、シリア反体制派を支援して体制転換を図ったり、エジプトのイスラム原理主義組織ムスリム同胞団を後押しするなど、「強いトルコ」復活を目指すエルドアン氏の個性を反映した“介入策”も目立っている。
この結果、トルコは域内外交で存在感を増した半面、シリアやエジプトなどとは関係が険悪になった。これらの国々とはぎくしゃくした関係が続くとみられる。