人繰りがつかず、「改装中」を理由に2カ月以上も閉店したままの「すき家」の店舗。「パワーアップ工事中」の貼り紙が空しい=2014年5月23日、大阪市北区(南昇平撮影)【拡大】
7月末に東京財団による「会社は社会を変えられる」と題するフォーラムが開かれた。環境、人権、貧困など世界中の人々が直面する社会的課題は国境を越えて複雑に絡み合っている上に、一つの国や機関だけで対応できる範囲を越えて広がっている。こうした現状を踏まえ、会社は経営戦略と一体となった社会貢献の視点を持つべきだ、という趣旨の内容だった。
しかし、このフォーラムで興味深かったのはむしろ、会社の存在意義は何かを改めて問う論議が行われたことだ。会社は消費者や従業員、株主、地域住民など、さまざまなステークホルダーとの関係の中で社会に存在するのだから、それ相応の責任を持たなければならない。そして、それができなければ、存在価値はないし、持続的に事業を行うことも困難になるという論議である。岩井克人(かつひと)東大名誉教授は「会社は法人と呼ばれ、ヒトと同じように扱われる社会的存在。単なるモノに過ぎない会社がヒトとして扱ってもらえるためには存在理由がなければならず、当然社会に貢献すべきだ」との考えを強調していた。