「演じる人の気持ちに寄り添えば絶対にせりふは出てくる。せりふではなくて、演じる人の心から出た言葉を話すことが大事」と語る、落語家の林家たい平(はやしや・たいへい)さん=2014年6月20日、東京都港区(栗橋隆悦撮影)【拡大】
「板屋監督は時代の最先端におられる方とお見受けしました。落語は伝統的で保守的な世界にあるものだから、板屋監督との出会いが“黒船来襲”のように思えましてね。僕らが築いてきたものを壊されてしまうのではないかと警戒していたんです」
だが杞憂(きゆう)だった。板屋監督はたい平の著作や落語の解説本をボロボロになるまで読みあさったそうだ。そもそも落語好きだったのだ。本作への姿勢も「子役だからと容赦したり妥協したりせずに本物の落語を身につけさせよう」という厳しいものだった。落語家ではない人だからこそ見えてくる落語のよさをどう撮るのだろう-。たい平は板屋監督に強い関心を抱き、全面協力を決意したという。
「演技」の面白さ
演技という表現行為には、落語では味わえない面白さがあることに気づき、新鮮な気持ちになったという。「落語は1人でやるものですから、すべて自分にとって心地よい『間』で表現できます。一方、お芝居の場合は他の人との響き合いが大事になってきます。相手にも間があるから、自分だけでは進めない。