国道9号線をホーチミン・ルートの要衝セボンに向かっていた南ベトナム政府軍の装甲車部隊は、25キロ進んだ地点で地雷を踏んで爆発した。衝撃で装甲車からたたき落とされた兵士=1971年2月、ラオス(岡村明彦氏撮影、提供写真)【拡大】
ビアフラ独立戦争では、機関銃に左胸を撃たれ倒れかかる兵士の写真を撮った。ロバート・キャパがスペイン内戦で撮影した「撃たれた兵士」をほうふつとさせる写真だ。飛び交う銃弾の中「1インチも頭をあげられない、カメラを持ち上げてシャッターを切るのがやっと」の状況だったという。なぜそうまでして危険をおかして前線に向かうのかとの問いに「怖いからこそ報道する価値があり、報道しなければならない」と答えている。
「シャッター以前」。岡村がよく口にした言葉だ。フォトジャーナリストは何を記録するかという問題意識や世界観がバックグラウンドにあって現場に立たなければならないということだろう。岡村はそうした生き方を実践し、多くの共感を呼んだ。そして「前線に行き、カメラ1台持って“殺し屋の上前”をはねてこようという人たち」がたくさん生まれていると嘆いた。