中国戦闘機(中国人解放軍の殲(せん)11戦闘機)による異常接近があった空域=2014年8月19日、南シナ海の公海上空【拡大】
13年前の事故の再現となってもおかしくなかった事案の発生に、米側は「明らかな挑発行為だ」(ベン・ローズ米大統領副補佐官)などとして、外交チャンネルを通じて厳重に抗議した。だが、中国側はほとんど意に介していないようだ。中国国防部の楊宇軍報道官は8月23日、「米側の中国に対する大規模かつ高頻度の近距離偵察こそが中米の空中、海上での軍事的安全を脅かし、偶発的な事故を招く根本原因となっている」と反論。米側に偵察活動の停止を要求した。
激化する主張
中国メディアは援護射撃に出た。中国共産党機関紙、人民日報系の国際情報紙である環球時報(電子版)は8月25日付の社説で、「米国は、国際空域と公海上での偵察活動は自由だ、という詭弁(きべん)をよく使う。中国は、米国に対中近距離偵察の『自由』をなくさせる決心をした。水面下での交渉が不調に終われば、中国は断固として妨害し、偵察活動する際の米軍のリスクを高めるよりほかない」と訴えた。