一石を投じる
北海道庁と札幌駅、大通を結ぶ札幌の中核の交差点を、日高地方二風谷のアイヌモシリより運ばれてきた巨大な石がふさいで鎮座している。島袋道浩による作品「一石を投じる」だ。自然のまま苔(こけ)むす巨石が、北海道の統治の中心である道庁と中核となるオフィス街に鎮座するさまは、自然と風土からそれを塗り重ねたメトロポリスに一石を投じるインパクトを与えている。
この地にアイヌの人々が邑(むら)を構え、その後、北海道経営の中心地となる都市として開拓された理由に、平坦(へいたん)な地にあって豊かな湧水が存在していたことがある。この巨石が鎮座する界隈(かいわい)は、豊かな湧水が湧き流れる場所であり、現在もまた人や経済の流れを運んでいる。
自然の上に塗り替えられた文明の流れを表象するのが、直下の「地下歩行空間」だ。長い冬をしのぐ無数の人々の流れとともに、アート展示などを可能とする巨大なギャラリー空間でもある。この地下に展開する「センシング・ストリームズ」というテーマの展示は、その水脈(ストリーム)のように市内各地の展示へとつながっていく。