人工霧に包み込まれ
北海道立近代美術館では、中谷宇吉郎博士による雪の結晶生成をめぐる写真と、それに触発されたカールステン・ニコライによる結晶生成機を中心とする作品が展開されている。一方で、南の丘の奥にある札幌芸術の森では、中谷芙二子による人工噴霧による霧の彫刻が展開、中谷父娘2代による自然現象による「造形」表現の磨きを対比できる。中谷芙二子の作品「FOGSCAPE#47412」は、ランドスケープの中での人工的な移ろいだけでなく、鑑賞者が霧の中に包み込まれる作品であり、視覚だけでなく触感や嗅覚で、その造形に没入した、気配までをも表現したものとなっている。
芸術の森では、天井裏に展開する森の造形をのぞき込む栗林隆「ヴァルト・アウス・ヴァルト(林による林)」、陶器に入る罅(ひび)のかすかな音を愛でることを試みさせる宮永愛子「そらみみみそら」。異なる種類の蜘蛛(くも)を放ち、巣をつくらせその複雑に織り成す造形を見せるトマス・サラセーノ「孤立性、社会性、準社会性のハイブリッドな楽器『三角座』:1匹のシロホシヒメグモ(10日間)、イワガネグモ科のクモの小共同体(4ヶ月)、2匹のオオワレズミグモの子(2週間)によって制作されたもの(仮題)」など、現象をめぐる作品群が、札幌に宿る自然の存在に示唆を与える。