イラストレーターとしてCDジャケットやTシャツのデザインを手がけてきた五木田にとって、数限りなく描いてきた「顔」は、最強の“商品”の一つだったろう。「Untitled-」を見るだけでも、顔の表情を描き出す力は際だっている。分かりやすく何かを伝えることが求められる商業美術という世界では、最も求められる才能だ。
しかし、だからこそ五木田は、大型カンバスの作品では、顔を描かないのだろう。顔のない絵を見る者は、絵全体を見るようになり、全体から何かを感じ取ろうとする。
商業美術から飛躍
五木田は、いわゆる「サブカルチャー」の中で評価を受けるだけでは満足せず、ここ10年以上、カンバス画を発表し、海外、主にアメリカで何度も個展を開き、年々評価を高めてきた。ご多分にもれず、いま“逆輸入”されるように日本国内で存在感を増している。