だが、待ち受けていた社会はこれまたアメージングにシビア。新居のドアは重くて開かない、憧れたコンビニははるか遠く、通院は地獄の道のり、待てど暮らせど電動車いすはやって来ない…。「病院から出て一人で生きていくことって、ある意味、賭けなんですね。助けてくれる人があらわれるのか、公的な制度が自分を支えてくれるのか、実際やってみなくちゃわからないことがたくさんある」
しかも、社会保障のシステムは困っている人にやさしくない。支援を受けるには申請が必要で、その手続きはややこしく難解だ。
更紗さんのサバイバルの厳しさに「どうやって生きのびるの!?」とハラハラさせられるが、世の中なかなか捨てたもんじゃない。「日本社会っていろんな顔があると思うんですが、意外と熱いハートを持っている人がいて、応援してくれるので、すごくうれしい」と更紗さん。見ず知らずの熱い人の支援にこちらまで熱いものがこみ上げてくる。「社会は、人は変わるかもしれない」と。