まったくの自己流から始め、思い通りの形にちぎれるまでに約10年の年月がかかった。枯れ葉色を表現するために線香で紙を焼いて色を出すなど試行錯誤の末、独自の世界を切り開いた。「突き上げてくるものがあって、いきなりダーッと作品ができる。芸術はそういうもの」と内田さんは話す。また、「全力投球なので(作品は)すべて気に入っている」とも。
日本の現代版画の普及に尽力した美術評論家の魚津章夫さん(73)は「内田さんは日本一のはり絵画家」という。魚津さんの強力な後押しで1994年、「四季の詩 内田正泰画集」を刊行。それを記念して八重洲ブックセンター(東京都中央区)で初めてまとまった数のはり絵作品を集めた個展を開催した。魚津さんは「長い苦闘の末に編み出した独創的な手法で日本人の感性でしか表現できないもの」と手放しの賛辞を贈る。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)
【ガイド】
内田正泰さんは9月24日(水)~10月7日(火)、神奈川県横浜市西区南幸1の6の31「横浜高島屋」5階ローズパティオで「内田正泰展」を開催する。新作を含め25点を展示販売する。午前10時~午後8時(7日は午後7時まで)、入場無料。問い合わせは、(電)045・311・5111横浜高島屋まで。