天高く馬肥ゆる秋、といいたいような秋の空、そして食欲の秋がやってまいりました。目にも美しく、また食用菊もあるように食べても独特の香気があり季節を感じる花、それが菊です。
春の桜に対して日本の秋を象徴する花ですが、それだけでなく歴史的にみて鎌倉時代の初めに、後鳥羽上皇が菊の花の意匠を好まれて自らの印として愛用。その後の天皇が継承したことで、「菊花紋」が皇室の紋として定着。高貴な花としてのイメージも浸透しました。
高貴なイメージ浸透
一般的には秋に咲く花ですが、短日植物なので、電照などを用いた作り方により、今では切り花は一年を通じて供給されています。最近はバラやカーネーションについで生産高の多い花卉(かき)となっているようです。食用にする「もってのほか」などの品種もあります。花言葉は皇室ゆかりということで「高貴」。鑑賞園芸的には和菊、生産園芸的には洋菊が中心に栽培されています。
日本では、薬草や観賞用植物として平安時代より用いられ、宮中では菊の節句と呼ばれる重陽の節句が旧暦の9月9日に行われ、現在でも秋の皇室園遊会(観菊御宴)はニュースでも取り上げられる風物詩となっています。