(左から)「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」ジャパンの代表、志村真介さん、暗闇のエキスパートであるアテンドのえばやん、ランランと、一般社団法人「Get_in_touch」理事長の東ちづる=2014年9月14日(山下元気さん撮影)【拡大】
暗闇をそんなふうに楽しめるのは、アテンドの存在が大きい。「暗闇なら任せてー」と笑う全盲のアテンド、ランランはみんなに声をかけながら自由自在に暗闇を歩く。「潜在能力はみんな同じように持っているはずなので、それをいかに使ってもらうかお手伝いしている」
真介さんは「DIDは、単なる目が見えないという不自由さの疑似体験ではない」と断言する。「暗闇の中で助けたり、助けられたりすることで、誰もが対等に自由であるということを体感できるはず」。何かにぶつかったりしても、それは失敗ではなく発見なのだ。
できるだけたくさんの人に体験してもらいたいと、DIDジャパンでは「暗闇のデリバリー」も行っている。「地方への出張は楽しい」と、ランランはうれしそうだ。「ドキドキするけど、人と話をする機会が増える」
街に出かけることが大事
真介さんは「まだまだ、いわゆる健常者中心の社会。まずは、街に障がい者が出かけていくことが大事」と考えている。実際、DIDを常設したことで地域が変わってきたと実感している。雪の日に点字ブロックの周囲を誰かが雪かきしてくれていたり、ぶつからないよう樹の枝を切ってくれていたりと、「見守ってもらっている実感がある」と真介さん。「DIDは、お互いの多様性を認めあっていくプラットホームであり続けたい」と、さらなる展開も考えている。