新作は、以前よりもギターが主張している曲が少ない印象だが、タナカは「曲が良ければそれでいいんです」と答える。「音でなんとか隙間を埋めようとしていましたが、今は音の引き算をしても曲がしっかりしている」とカナタは言う。それはむしろ「クールでメロディアス」「テクニカルだがひけらかさない」といった彼らが持つ本来の個性が鮮やかに発揮され、グルーブのあるロックをより引き立てている。
バンド活動的には絶望的な時期を、成長や進化のタイミングに変えようと奮闘した4人の強い意志が結実した作品だ。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)
■ふじた・たくみ 1976年、東京都生まれ。ラジオ、テレビの音楽番組を中心に活動する傍ら、年間150本ほどライブに通う。現場主義の視点で音楽を紹介し続けている。