私が楽しみにしていたのは、敷地内にある、同じくピアノが設計したサイ・トゥオンブリーというアメリカ人画家のギャラリー。線描を主とした彼の作品は、まるで子供の落書きのよう。単純な線の中にリズムや奥行きを感じ、おしゃれな余白の取り方に感激しました。
色の変化ずっと眺め
さらに訪問の最大の目的はロスコ・チャペル!! チャペル内部の壁面には、ジャクソン・ポロックと並びアメリカを代表する抽象表現主義の画家、マーク・ロスコの巨大な抽象画が飾られ、さまざまな宗教を超えて、祈りをささげたり、瞑想したりする場になっています。私が訪れた日は床でヨガをする人や、ただふらりと入ってきて、すーっと出ていく観光客、子供を連れて散歩を楽しむご近所の方々と出会いました。
私自身は、建物に入った瞬間、何ともいえない感覚に包まれました。一瞬にして浄化され、全身の垢が洗い落とされるような不思議な心地よさでした。
壁にかけられた絵は濃い紫色にも見え、茶色にも見え…。日中は自然光が取り入れられ、お天気や時間帯によって色に変化が生まれます。私には心の中がそのまま映し出されるようにも感じました。
半日ほどそこから動けず、立っては壁の絵を見つめ、座っては眺めるうちに、どんどん無心になっていきました。